RESEARCH REPORT
2026 EDITION
FormFox PRO
B2B Sales Insight Report 2026

BtoB新規開拓の
経営課題マップ2026
— 公的データ・民間調査5本を横断分析、見えた「3つのギャップ」

中小企業庁・大阪商工会議所・大同生命など公的/準公的データに加え、ラクス・配配メールなど民間BtoB営業調査を横断分析。BtoB新規開拓の現場に存在する「課題認識」と「実行手段」の3つの構造的ギャップを可視化し、再現性ある新規開拓の方向性を提示する。

発行:株式会社korobyte(FormFox PRO Research Team) / 分析対象データ:2024〜2026年に公表された国内中小企業・BtoB営業関連調査9本 / 分析手法:既存公開データの横断比較分析(メタアナリシス)

EXECUTIVE SUMMARY

3行サマリー

  1. 中小企業の最重要経営課題は「新規顧客・販路開拓」。大阪商工会議所2025年調査では 57.1% が最重点課題に挙げ、前年比 +8pt と拡大している。
  2. しかし実態としては、新規開拓手法の 60.7% が「紹介」、最も成果に繋がる手法も「紹介」が 52.0%。再現性のない手段に依存する構造が温存されている。
  3. BtoB営業の 87.2% が課題感を持つ一方、新規開拓目標を達成できているのは 約4割。「課題認識 → 実行 → 成果」を阻む3つの構造的ギャップが存在する。

CHAPTER 01

経営課題のトップは「新規顧客・販路開拓
— マクロデータで見る現在地

2025年4月25日に閣議決定された2025年版中小企業白書は、中小企業を取り巻く環境を「円安・物価高の継続」「金利のある世界の到来」「構造的な人手不足」と総括し、これら3つの逆風下で経営者の『経営力』向上が不可欠と位置づけた。

そのなかで、複数の調査が共通して指摘するのが「新規顧客・販路開拓」の優先度上昇である。原材料費高騰や賃上げ圧力により、既存顧客への値上げ交渉だけでは収益を維持できず、新規顧客獲得が即効性のある打ち手として再注目されている。

大阪商工会議所:最重点課題は「新規顧客開拓・販路開拓」が57.1%でトップ

中小企業が「重点的に取り組みたい経営課題」TOP指標

出典:大阪商工会議所「中堅・中小企業の業況・経営課題等に関する調査」(2025年3月公表)

大阪商工会議所が2025年3月に公表した「中堅・中小企業の業況・経営課題等に関する調査」では、重点的に取り組みたい経営課題として 「新規顧客開拓・販路開拓」が57.1% と最上位を占めた。注目すべきは、1年前の同調査と比較して約8ポイント増加 している点である。

調査に協力した企業の声として「コスト高騰が続く中、既存顧客への値上げ労力は大きく、新規顧客を獲得する方が即効性がある」「海外販路を拡大したい」「人員確保が課題」などが寄せられており、価格転嫁の限界に直面した中小企業が、新規顧客獲得へと舵を切っている 構図が浮かび上がる。

大同生命サーベイ:半数以上の中小企業が新規開拓に挑戦

大同生命保険が毎月実施する「大同生命サーベイ」の2025年4月度調査(2025年5月公表)でも、新規顧客・販路の開拓に半数以上の中小企業が挑戦 していると報告された。事業拡大に向けた課題としては 「商品・サービス力の強化(28%)」、続いて 「開拓に必要な人材の不足(27%)」 が挙がっている。

また同サーベイの過去調査では、過去1年間の売上に占める「新規顧客の割合が5%未満」と回答した企業は全体の61% に上り、自社の業況が「悪い」と回答した企業ではその割合が65%に達することも明らかになっている。業績不振企業ほど、新規顧客比率が低い という相関構造である。

共通の結論:新規開拓は「最重要だが、できていない」課題

これらの公的・準公的データを横断すると、結論は明瞭である。中小企業の経営者にとって、新規顧客・販路開拓は2026年現在、最優先で取り組むべき経営課題 として認識されている。問題は、この認識が 実行手段の選択成果 に結びついていないことだ。次章では、その実態を見ていく。

CHAPTER 02

実態は「紹介依存」と「アナログ
— 認識と手段のギャップ

では、経営者が「最重要」と認識する新規開拓を、現場ではどう実行しているのか。配配メール(株式会社リンクアンドパートナーズ)が2025年10〜12月に実施した「中小企業の新規開拓に関する実態調査」(従業員300名以下のBtoB中小企業営業管理職300名対象)は、その実態を生々しく示している。

新規開拓手法の60.7%が「紹介」、最も成果が出る手法も「紹介」

BtoB中小企業が「実施している新規開拓手法」(複数回答)

出典:配配メール「中小企業の新規開拓に関する実態調査」(2025年10〜12月、n=300)

調査結果によれば、新規開拓のために実施しているアプローチ手法として 「既存顧客や知人からの紹介」が60.7% と突出。次いで 「代表電話への架電や飛び込み営業」が30.7% と続く。

さらに重要なのが、最も商談創出に繋がっている手法 についても、「既存顧客や知人からの紹介」が52.0% と過半を占め、他のすべての手法はいずれも12%以下に留まったことだ。つまり、紹介が最も確実で高成果を生む手法として、中小企業の新規開拓を牽引しているのが現実である。

テレアポ・飛び込み・郵送DM — アナログ偏重の構造

もう一本の重要データが、株式会社ラクスが2024年7月に公表した 「新規開拓の現状や課題点に関する調査」(BtoB営業担当 n=1,013)である。新規顧客開拓を行っている方法を尋ねたところ、上位は以下のとおりだった。

手法 実施率
テレアポ 39.2%
飛び込み営業 36.4%
郵送DM 22.0%

※出典:株式会社ラクス「新規開拓の現状や課題点に関する調査」(2024年7月公表、n=1,013)

2024年と2025年の調査結果を並べると、「紹介」「テレアポ」「飛び込み」「DM」という、従来型の4手法に依存する構造 が浮かび上がる。一方、白書では繰り返し「中小企業のDX・デジタル化推進」 が叫ばれているにもかかわらず、新規開拓の現場ではアナログ手法が支配的という乖離が生じている。

ギャップ①:
「最重要課題」と認識しているのに、手段は「再現性のない紹介」に依存

認識
57.1%
「新規顧客開拓・販路開拓」を
最重点課題に挙げる中小企業(大阪商工会議所 2025年3月)

実態
60.7%
新規開拓手法として
「紹介」に依存する中小企業(配配メール 2025年12月)

「紹介」は確実性が高い一方、能動的にコントロールできず、スケールしない。経営課題と認識される領域に対して、再現性ある仕組みが構築されていない構造が浮き彫りになる。

CHAPTER 03

87.2%が課題感、達成は約4割
危機感成果のギャップ

新規開拓を「重要」と認識し、何らかの手段で取り組んでいる。それでも成果が出ない。この第二のギャップは、複数調査が一貫して指摘している。

BtoB営業の87.2%が新規開拓に課題感、半数以上が「運用」「人員」で詰まる

前述のラクス調査(n=1,013)では、新規顧客開拓を行っている方の 87.2%が「何かしらの課題を感じている」 と回答した。具体的な課題内容は以下のとおりである。

BtoB営業担当が感じる「新規顧客開拓の課題」(複数回答)

出典:株式会社ラクス「新規開拓の現状や課題点に関する調査」(2024年7月、n=1,013、課題感ありと回答した方が対象)

注目すべきは、「施策はやっているが運用できていない」「人員不足で専念できない」「人員不足で獲得した顧客にアプローチできない」といった『仕組み化』と『リソース』に関する課題が上位を独占 している点である。これは「やり方がわからない」のではなく、「やる体制が整っていない」 ことを示している。

重視は約70%、達成は約40% — 30ポイントの未達ギャップ

B2Bマーケティング社が2025年5月に公開した調査分析記事は、複数の公開調査を横断したうえで、こう結論づけている。約7割が「新規顧客開拓」を重視しているにもかかわらず、目標を達成できたのは4割程度にとどまっている

同記事では、人的リソースや営業ノウハウの不足、顧客リストの不足やその精度などが「解決すべき多くの課題」として挙げられている。重視している領域に対して、30ポイントもの未達ギャップが恒常的に存在する ことは、業界全体の構造的問題と言える。

ギャップ②:
「危機感」は高いのに、「成果」に転換できていない

危機感
87.2%
新規顧客開拓に
課題感を持つBtoB営業(ラクス 2024年7月)

達成度
約40%
新規顧客開拓の
目標達成企業(B2Bマーケティング 2025年5月)

課題は明確に認識されている。問題は「解決行動」が課題の構造を変えていないこと。やり方を変えずに人員だけを投入しても、達成率は上がらない。

CHAPTER 04

KPIなし、手動が大半
仕組み化のギャップ

第三のギャップは、新規開拓を 「測れていない」「自動化されていない」 という、運用レイヤーの問題である。これも配配メール2025年調査が鋭く指摘している。

紹介主力企業の59%がKPI設定なし、61.5%が「ほぼ手動」

新規開拓における運用・測定実態の比較

出典:配配メール「中小企業の新規開拓に関する実態調査」(2025年10〜12月、n=300)

調査結果を整理すると、以下のような実態が明らかになる。

  • 新規開拓業務のKPI未設定:全体平均 39.0%、紹介主力企業では 59.0%(全体より+20pt)
  • 新規開拓を「ほぼ手動」で実施:全体平均 42.0%、紹介主力企業では 61.5%(全体より+19.5pt)

「紹介」を主力とする中小企業ほど、KPI設定もツール活用も遅れている。これは 「紹介で十分回っている → 仕組み化の優先度が下がる → 紹介依存がさらに固定化する」 という負のループの存在を示唆する。

40.7%が「すぐに商談化しない見込み客に何もしていない」

営業マネージャーは関係構築の重要性を認識してはいるものの、実際には、獲得した貴重な顧客接点に対する継続的なフォローの仕組みが整っていない。すぐに商談化しない見込み客であっても、継続的なフォローで関係構築を行うことで、将来的に商談を獲得できる可能性がある。
— 配配メール「中小企業の新規開拓に関する実態調査」より要約

同調査では、受注確率を高めるうえで最も注力すべきプロセスとして、マネージャーの 28.7% が「関係を構築し、顧客課題を特定する」と回答。営業の初期段階の重要性を認識している。ところが、すぐに商談化しない見込み客に対して関係を維持するためにおこなっていることを尋ねると、「特におこなっていない」が40.7%で最多 という結果になった。

つまり、「関係構築が重要だ」と理解しているのに、4割以上の企業が継続的なフォローを実施していない。獲得した接点を活かせず、機会損失が放置されているのが実態である。

ギャップ③:
「重要だと理解している」のに、「測れず・回せず・続けられない」

理解
28.7%
「関係構築・課題特定」が
最重要と認識する営業(配配メール 2025年12月)

放置
40.7%
商談化しない見込み客に
「特に何もしていない」企業(同上)

「分かっているのにできない」のは、属人化と未自動化が原因。仕組み化されていない限り、現場の意識だけでは構造は変わらない。

CHAPTER 05

「3つのギャップ」を埋めるアプローチとは
再現性のある新規開拓へ

これまでに見た3つのギャップを整理すると、以下のとおりである。

ギャップ 構造 根本原因
①認識×手段 最重要課題と認識しているのに、再現性のない紹介に依存 能動的にコントロールできる代替手段の欠如
②危機感×成果 87.2%が課題感、達成は約40%にとどまる 解決行動が構造を変えていない(やり方を変えていない)
③理解×実行 重要性は理解、しかしKPIなし・手動・継続フォローなし 属人化・未自動化・測定可能性の欠如

共通解は「能動・再現性・測定可能」の3条件

3つのギャップに通底するのは、中小企業のBtoB新規開拓が、能動的にコントロールでき、再現性があり、測定可能な手法を持っていない という構造である。逆に言えば、この3条件を満たす手法を導入できれば、ギャップは原理的に埋められる。

  • 能動性(Active):紹介を待つのではなく、自社のタイミングで対象企業にアプローチできる
  • 再現性(Reproducible):属人スキルではなく、テンプレートと運用ルールで一定の成果が出る
  • 測定可能性(Measurable):送信数・到達率・反応率などのKPIで効果を可視化できる

選択肢の現在地:テレアポ・DM・フォーム営業の比較

主要BtoBアウトバウンド手法の反応率レンジ(目安値)

出典:各事業者公開データ(Sales Marker、StockSun、FutureSearch、NEXWAY等)より整理

テレアポは反応率0.5〜2%、メールDMは0.1〜0.5%程度が一般的な目安とされる。一方、問い合わせフォーム経由の営業は、複数事業者の公開データで1〜5%程度の反応率 がレンジとして報告されている(リスト精度・文面・業界によって大きく変動)。FutureSearchが自社実例で公開した数字では、メールDM比でフォーム営業がおよそ7倍の反応率を示した事例もある。

フォーム営業の特徴は、迷惑メールフィルタにかからず、企業の公式問い合わせ窓口に届くため、開封率・閲覧率が構造的に高くなる点にある。さらに、送信を仕組み化することで、KPI測定(送信数・到達率・反応率)が容易になり、第3のギャップを埋める要件にも合致する。

もちろん、テレアポ・展示会・SEO・広告など、他のチャネルがすべて代替されるわけではない。重要なのは「紹介依存・手動・KPIなし」という現状から、「能動・再現性・測定可能」な仕組みを一つでも追加すること である。

結論:2026年、BtoB新規開拓は
「個別最適」から「仕組み」へ。

中小企業の経営課題TOPは「新規顧客・販路開拓」。この認識は、公的・準公的調査で繰り返し確認されている。一方、現場では紹介依存・アナログ手動・KPI未設定という、再現性の確保が難しい構造が長く続いてきた。

本レポートが横断分析した9本の調査が示すのは、「課題認識」「行動」「成果」の3つの段階それぞれにギャップが存在するという事実である。能動性・再現性・測定可能性を備えた仕組みへの移行が、2026年のBtoB新規開拓における重要な分岐点になると考えられる。

人員リソースの追加投入だけでは、87.2%の課題感を構造的に解消することは難しい。運用構造そのものを見直す打ち手を、いま選び始めるタイミングである。

参照データソース

  1. 中小企業庁「2025年版 中小企業白書・小規模企業白書」(2025年4月25日閣議決定)。元データ:帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」(2024年11〜12月実施、有効回答数17,848者)
  2. 中小企業庁「2020年版 小規模企業白書」第3部第2章第2節(経営課題の長期時系列データ)
  3. 大同生命保険「大同生命サーベイ」2025年4月度調査(2025年5月公表):「新規顧客・販路の開拓に半数以上の中小企業が挑戦」
  4. 大阪商工会議所「中堅・中小企業の業況・経営課題等に関する調査」(2025年3月公表):重点的に取り組みたい経営課題で「新規顧客開拓・販路開拓」が57.1%でトップ
  5. 株式会社配配メール(リンクアンドパートナーズ)「中小企業の新規開拓に関する実態調査」(2025年10月6日〜10月12日、n=300、従業員300名以下のBtoB中小企業営業管理職)
  6. 株式会社ラクス「新規開拓の現状や課題点に関する調査」(2024年6月6日〜7日、n=1,013、BtoB営業担当)
  7. B2Bマーケティング株式会社「7割が重視している新規顧客開拓、調査データから読み解くBtoB企業の営業課題と改善策」(2025年5月29日公開)
  8. Sales Marker、StockSun、FutureSearch、NEXWAY各社公開データ:問い合わせフォーム営業の反応率に関する事業者公開データ(2024〜2026年)
  9. 株式会社ALUHA「2024年BtoBマーケティング・営業戦略のデジタル活用意識調査」(2024〜2025年公開)

※本レポートは上記公開データを再構成・横断分析したものです。各データの一次出典は各機関の公式サイトより閲覧可能です。

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BtoB新規開拓の経営課題マップ2026 / Issued: 2026.05
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